モンテッソーリ教育とは
時代や文化の違いを超えて、世界140か国以上の国で支持され続ける教育法
モンテッソーリ教育は、いまから100年以上も前にイタリア最初の女性医学博士、マリア・モンテッソーリによって開発された教育法です。当初、障がい児に関わっていたマリア・モンテッソーリは、手や指先を沢山使う道具(今では「教具」と呼ばれるもの)を子ども達に提供してみました。「手を使いたい!」という欲求を満たされた子ども達は、満足し落ち着きが見られました。
後の「モンテッソーリ教育法」の土台となり、「子どもは生まれながらにして、自分自身を成長させ発達させる“自己教育力”を備えている」という教育法の大前提となる考え方を確立するに至りました。
例えば、子どもは歩くことを教えなくても、自ら立って歩き始めようとしますし言葉を教えなくても自然と喋り始めます。このように環境に積極的に関わり吸収しようとする姿は、自身で自立のため成長していく姿のあらわれです。
この考え方にもとづいて、「自立していて、有能で、責任感と思いやりをもった人間」「生涯を通じて学び続ける姿勢をもった人間」を育てることが、モンテッソーリ教育の目的です。世界140か国以上の国に広まっている教育法で、偉業を成し遂げている有名人もこの教育を受けています。
モンテッソーリ教育の「おしごと」
モンテッソーリ教育では、普段の活動のことを「おしごと」と呼んでいます。大人が生きるために「仕事」をするように、子どもの発達・成長にとって必要な活動なので「おしごと」と呼んでいます。
「おしごと」は大人がやらせるものではなく、子どもが自分の成長に必要なものを「やりたい」と、自発的に選ぶものです。
教具にはすべてにねらいと特徴があります。
素材や色彩にも配慮し、子どもが魅力的に感じることのできるものを準備しています。
サイズは子どもが扱いやすいサイズのもので、ある一つの特性のみが際立つようにつくられています。
そのため、自分で「何か違う」と違和感を感じ、自己訂正することができ、繰り返し活動に集中して取り組むことができます。
モンテッソーリ教具の一例
ピンクタワーは1cm×1cm×1cm~10cm×10cm×10cmの木製の立方体で1cmずつ大きくなっており、大きさ(3次元)の違いを知るための教具です。ピンク一色で統一されているため大きさの違い(=特性)に焦点を当てており、積み上げた際の不調和より自ら訂正することができます。
つまむ大きさのものから両手で持つサイズのものがあり、物をもって運ぶ・積み上げる等の動作の洗練にもつながります。
感覚教育
色板
どんな教具?
色のついた板で、色板1(色の3原色)、色板2(11色)、色板3(9色、各7枚が濃淡)からなります。色を楽しむことから始め色の世界へと導入し、色の濃淡の違いを通して色彩感覚を養います。教具を扱うことで、指・手の運動の発達も促します。
どんなことをするの?
同じ色を探す(マッチング)
色彩記憶ゲーム
身近なものの同じ色を探したり、集めたりする
色の名称を習得する
言語教育
メタルインセッツ(鉄製はめ込み)
どんな教具?
鉄製で作られた10種類の図形(枠と形)からなります。文字を書くための準備となります。決められた枠をなぞることで手首・肩・肘等の動かし方や、筋肉の使い方を学んでいきます。目と手の協応も養われます。
どんなことをするの?
鉛筆を正しく持ち、決められた枠や形をなぞる。
鉛筆をもって書くことに慣れてきたら、図形を同方向に移動させたり、様々な図形を組み合わせることができ、芸術的感覚を洗練することができる。
数教育
数字と玉
どんな教具?
1から10まで数字と赤い玉(具体物)を用いて、数概念の理解を深めていきます。1から10までの数量・数詞・数字の関係性を知ることができます。奇数と偶数を視覚的・感覚的に理解していきます。
どんなことをするの?
数字を1~10まで順番に並べていき、その下に赤い玉を2列に並べる。
奇数の場合、最後の1つの玉が余るため2つの玉の間に置くことで、奇数と偶数の違いが見てわかるようになる。